工学院

工学は、人類を幸せにするための枠組である「文明」に貢献する学問です。工学院は、機械系、システム制御系、電気電子系、情報通信系、経営工学系の5つの系と、その先の大学院課程からなり、人の生活が豊かで快適なものとなるための工学技術を学び、さらにそれらを進化させていく研究活動を体験します。そこで得られる成果は、未来の人類社会に大きく貢献するでしょう。例えば、地球温暖化を阻止できる再生/省エネルギー技術、少子高齢社会を支える実用的な介護ロボットや人の機能補完のためのアシストロボット、脳機能と身体のダイナミクスを考慮した機器や人間そのものの制御、人の五感を活用できる革新的なインターフェース機器や情報通信網等、さまざまな先進技術の開発につながると考えられます。
工学院で学ぶ魅力
文明を支える幅広い分野の「ものづくり」を学ぶことができます。
福祉機器やIT機器等、生活空間で用いられるものから、ロケット、ロボット等、宇宙空間、高度医療現場での最先端機器まで、それらの要素からシステム全体の開発、生産管理、企業経営に至るまで、文明を支える「ものづくり」を学ぶことができます。
楽しみながら創造性が身に付く、さまざまな実習を用意。
斬新な発想力と実践力を培うために、元祖ロボコンの「国際デザインコンテスト」をはじめとして、「独創機械設計」「ゑれきてるコンテスト」等、所属各系で実績のある創造性育成科目が用意されており、創造性を楽しく身に付けることができます。
所属各系だけでない幅広い大学院課程へ進学できます。
エネルギー、エンジニアリングデザイン、ライフエンジニアリング、原子核工学等、多くの学問領域を融合・進化させて新たな領域を創り出す、複合系コースの大学院課程すべてへの進学経路が用意されており、技術者としての幅広い将来設計が可能です。
工学院の構成
工学院 |
学士課程(1年目) |
学士課程(2~4年目) |
大学院課程 |
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工学院 |
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※ 複数の系に関連しているコース
工学院の特色ある教育研究活動
グローバル理工人育成コース
大学院課程修了後に新興国を含む世界でリーダーシップを発揮できる人材を育成すべく、学士課程卒業後に大学院課程において国際水準の教育研究活動を行い得る、高度な能力を身に付けさせることを目的として学士課程に設置されたコースです。「国際意識醸成プログラム」、「英語力・コミュニケーション力強化プログラム」、「科学技術を用いた国際協力実践プログラム」、「実践型海外派遣プログラム」の4つのプログラムにより構成されています。
国際連携
大学教育においてもグローバル化が急速に進む中、工学院、物質理工学院、環境・社会理工学院では、国際的な研究ネットワークやプロジェクトへの参加促進、学生・教員・研究者間の交流の活性化などのサポートに注力しています。海外の世界トップレベル大学の部局と上記3学院との間で50件以上の部局間協定を締結しており、そのうちのいくつかの協定校と奨学金を伴う派遣交換留学プログラムを実施しているほか、EUのErasmus+の支援により国際交流協定を締結しているパートナー大学への留学支援も行っています。
The Asia-Oceania Top University League On Engineering (AOTULE)
アジア、オセアニア地域のトップレベルの工学系12大学間の多角的交流を促進する目的で設立された大学連盟AOTULE(The Asia-Oceania Top University League on Engineering)の活動には、国際学生会議、本学キャンパスで実施されるワークショップ、アジア・オセアニア地域で開催されるワークショップ等のほか、研究活動のための海外派遣等があります。
Summer Exchange Research Program (SERP)
工系部局間交流協定の結ばれている大学(ウィスコンシン大学マディソン校、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ウォーリック大学、サウサンプトン大学、パリ第6大学、アーヘン工科大学、マドリッド工科大学等)へ2~3か月程度の留学支援を行っています。
科学技術者実践英語
グローバル社会をリードする科学技術系人材育成の一環として、学生の英語によるコミュニケーションの実践力向上を目標に、学士課程で「科学技術者実践英語」を開講しています。少人数クラス編成で、科学技術者として将来遭遇する様々な状況におけるプレゼンテーション、ディベート、リスニング、テクニカルライティングなどの総合的なコミュニケーション能力を向上させる高いレベルの実践英語授業を行います。
六大学工学系人材交流プログラム
将来を担う「教育力」「研究推進力」「マネジメント力」を持った教育、研究、組織運営のリーダーとして活躍が期待されている人材の育成と、参加組織間での知の共有化、参加組織の共進化を目的として、教員の大学間の人材交流活動及び教育・人材育成の相互支援活動を行っています。
現在、六大学(北海道大学、東北大学、東京工業大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学)の工学系の研究科等が参加し、人材の交流と大学を跨いだACE(Academic Career Enhancement)活動により若手教員の育成に努めており、この中から次世代を担うリーダーが育つとともに、参加組織の教育研究活動がますます活性化することが期待されています。
工学院産学連携室
工学院産学連携室は社会・産業界の具体的なニーズに応じて工学院内の教員との最適な共同研究チームを編成して高度な問題解決を図ります。さらには、社会・産業界における共通課題の抽出とこれに対する解決策を提示し、海外の大学等も含めた学外組織との連携による国際産学連携研究の実施など多様な産学連携活動を行います。
超スマート社会推進コンソーシアム
超スマート社会(Society 5.0)の実現を推進する「超スマート社会推進コンソーシアム」を設立し、参加機関と連携して人材育成から研究開発までを統合した新たな次世代型社会連携教育研究プラットフォームを構築しています。従来の共同研究や社会実装を目的としたコンソーシアムとは異なり、オープンエデュケーションとオープンイノベーションの融合を目指しています。
超スマート社会卓越教育院
超スマート社会卓越教育院では、修士・博士後期課程を一貫した学位プログラムにより、フィジカル空間技術とサイバー空間技術にとどまらず、量子科学や人工知能などの最先端の科学技術をも融合できる知のプロフェッショナル「スーパードクター」を養成しています。
工学院教育基金
工学院教育基金は、工学院の教育高度化と、所属学生の研究活動および国際交流を直接的に支援することを目的としています。イノベーションをリードする工学人材育成に向け、工学院の教育に使途を特定した基金へのご寄附をお願いします。詳細はパンフレット(『工学院教育基金』ご寄附のお願い)をご覧ください。尚、以下の寄附メニューページからもご寄附を受け付けています。
学生メッセージ
新たなユーザーエクスペリエンスを目指して食事支援ロボットの開発に取り組む
工学院 機械系
岡朋宏さん(修士課程1年、2018年度)
使用者が快適に日本食を食べられるよう、従来のスプーンに変えて据え置き型のロボットアームにグリッパを備えた新たな食事支援ロボット開発しています。私は主にロボットのハード面を担当しており、今までになかったコンセプトのロボットを国内外の様々なバックグラウンドを持つ方々と一緒に、一から作り上げる体験にやりがいを感じています。将来は、「人を笑顔にすることができる」エンジニアになりたいです。
新しいモデルの考案・改良作業は試行錯誤の連続で知的に充実
工学院 機械系
山口大輝さん(修士課程1年、2019年度)
乱流中に少量の高分子を添加すると抵抗低減に繋がることが知られており、これはToms効果と呼ばれています。Toms効果は工業的には石油パイプラインなどに用いられていますが、そのメカニズムは未だ明らかになっていません。私の研究では一つの可能性を示すことができ、その理論に則した高分子が発見されれば、現在最大とされている抵抗低減の限界値よりも高効率でのエネルギー輸送が可能になると考えられます。
充実した研究設備が整い、研究熱心な仲間たちと切磋琢磨できる魅力的な環境
工学院 機械系
北原悠さん(修士課程2年、2019年度)
私は「結晶塑性解析に基づくせん断型疲労き裂進展に関する研究」というテーマの研究に取り組んでいます。概略的に説明すると、飛行機のエンジンなどに用いられているガスタービンが壊れる際に初めに起きるき裂を対象に、結晶塑性解析という特殊な解析法を用いて、壊れる速さや壊れ方を数値的に評価するという研究を行っています。
日々研究に明け暮れる私にとって、東工大の最大の魅力は研究設備が充実していることです。特に私が取り扱う解析では、普通のパソコンでは到底解析できないような莫大な計算が必要になります。東工大では「TSUBAME」というスーパーコンピュータを使用することができ、私の研究で必要とされる大規模解析の計算も遂行することが可能です。
また先生方をはじめ、研究室には研究熱心なメンバーが多くいます。学会発表や論文執筆に向けて積極的に研究に励み、中には発表賞や論文賞を受賞するなどの実績をもつ人もいます。このような切磋琢磨できる環境の中で、その分野の最先端の研究ができることも東工大の大きな魅力だと感じています。
カメラを用いて非接触で心拍数を推定
工学院システム制御系
角詩香さん(修士課程1年、2018年度)
デジタルカメラで撮影した人の顔の動画像から、心拍数などの生体情報を非接触で計測する研究を行っています。人間の肌の色は、肌の下を流れる血液によって変化し続けています。肉眼では見えないこの微かな変化をカメラによって捉えることで、血液の流れを推定することができます。ストレス計測や病気の検知、感情センシングなど多くの応用が想定され、魅力的なテーマだと考えています。
バッテリー車載型の直流電気鉄道の課題解決に取り組む
工学院 電気電子系
大西晴菜さん(修士課程2年、2017年度)
バッテリー車載型の直流電気鉄道( 蓄電池車)の適用が進み省エネルギー化などの利点がある一方で、重量体積の大きいインダクタの小型化や直流遮断機の除去が課題となっています。そこで、これらの課題を解決できる電力変換器の研究に取り組み、シミュレーション解析とミニモデル実験の2つの側面から研究に取り組んでいます。将来は電気の専門家として社会貢献をしていきたいと考えています。
数理の知見を総動員して信号処理の問題解決に挑む
工学院 情報通信系
黒田大貴さん(博士後期課程3年)
データサイエンスと情報通信工学の共通基盤となる信号処理の問題を研究しています。信号処理は観測された多様なデータから数理を駆使して価値の高い情報を抽出するための総合科学です。授業で学んだ知識を深化させ、世界の誰もが気づいてこなかったアイディアに結実させることは決して容易でありませんが、好きな数学を存分に活かして工学の広い分野に貢献できる研究に大きなやりがいを感じています。
急速に発展し続ける情報通信の知識を広範囲に習得できる
工学院 情報通信系
大倉崚吾さん(学士課程4年、2019年度)
通信方式や暗号、セキュリティ、組込みシステムなどに関する知識が得られ、講義では攻撃や防御という観点から通信技術についても学ぶことができます。またobnizという電子工作ボードを使用してIoT電子工作を行ったり、学んだ内容をプログラミングしたりして理解を深めることもできます。これからも急速に発展し続けることが期待できる「通信」という分野について広範囲に知識を習得できることが魅力です。
効率のよい輸送ネットワークを国内外の研究者とともに考える
工学院 経営工学系
黒木祐子さん(修士課程2年、2017年度)
たくさんの空港があるなかで、ハブとなる乗り換えの中継地点をどこにすべきかなど、効率のよい輸送ネットワーク設計について研究しています。社会で起きている問題を、数理的なアプローチで解決できるところが最大の魅力です。国内の学会や海外の国際学会で自分の研究について議論する機会や、国境を越えて多くの研究者と交流できる機会もあり、充実した研究生活を送ることができています。
社会で起きている問題を数理的アプローチで解決
工学院 経営工学系
徐安洋さん(修士課程2年、2018年度)
座席によるグループ分けで乗客の旅客機への搭乗時間をより短くする研究を行っています。乗客どうしのすれ違う回数が搭乗時間と比較関係にあると仮定して問題の定式化を行い、最適な搭乗戦略を求めました。また、家族や友人が同じグループで搭乗するという制約も追加することで、より実用性の高いものとなりました。これからも世の中の不便や不満を少しでも減らすことに貢献していきたいです。
取得できる教員免許状
- 学士課程
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高等学校教諭一種免許状(情報・工業)
- 修士課程
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高等学校教諭専修免許状(情報・工業)