国際交流学生会SAGE
本学では学生自らの発案で立ち上げ、自主的に活動する団体やサークルが数多くあります。その中のひとつ、身近な国際交流を積極的に展開している東京工業大学国際交流学生会(SAGE※1:セージ)」を紹介します。
- ※1
- Student Association for Global Exchange
はじまりは現地学生の声
SAGEの活動は、東工大生が東南アジアに赴く日本アジア理工系学生交流プログラム(JAYSES:ジェイシス)※2で交流した現地学生の「同じようなプログラムで日本にも行ってみたい」という声がきっかけでした。「じゃあ、やろう!」と東工大生数人が集まり、2008年にSAGEを設立。翌年、アジアの大学から学生を東工大に招き、第1回「アジア理工系学生連携促進プログラム(ASCENT:アセント)」を開催しました。以来、「東工大生の国際交流の機会を増やすこと」「海外学生により東工大を知ってもらうこと」を活動の軸として、東工大生と海外学生の架け橋となる機会を次々と生み出しています。
- ※2
- 2013年にグローバル理工人育成コースの実践型海外派遣プログラムの1つとして単位化され、現在実施されている短期留学プログラムTokyo Tech-AYSEAS
(エイシアス)の前身プログラム。2007年から2012年まで実施。
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SAGEロゴ
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第7回ASCENT参加者とSAGEのメンバー
ゼロから作る国際交流イベントの数々
学生視点で展開されるSAGEのイベントはすべて手作りです。
SAGE発足とともに誕生したASCENTは、初回以来、清華大学(中国)、バンドン工科大学(インドネシア)やチュラロンコン大学(タイ)など、アジア有数の大学から理工系学生20名程度が参加して毎年実施されています。約10日間の日程には、基調講演や企業訪問、ディスカッションなど、その年に設定されたテーマへの理解や発信力が深められる企画のほか、日本文化研修や交流会など、学生間の強固なネットワークを築くための工夫がふんだんに盛り込まれ、その内容は毎年進化しています。
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第7回ASCENTの様子
本学が新入生を迎える春には、日本人学生と留学生が一緒にミッションをクリアしながら東京の観光名所を駆け巡る「東京オリエンテーリング」が行われます。「浅草の仲見世通りで人形焼きを食べよう」「虎ノ門ヒルズのマスコットと写真を撮る」「東京スカイツリーの横を流れる川の名前は?」など、ミッションは遊び心にあふれていて、来日して間もない留学生には新しい生活環境に馴染むきっかけに、日本人学生には身近な国際交流の機会となる毎回大盛況の1日イベントです。
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東京オリエンテーリングを楽しむ参加者たち
活動はまだまだあります。学位留学の支援団体や他大学と連携し、留学経験者を講師に迎えて行われる「海外大学院留学説明会」は、理工系学生の大半が大学院に進む環境のなかで、幅広い選択肢の提供に一役買っています。そして、その間を縫うように年間を通して行われているのが、東工大を訪れる海外学生にスーパーコンピュータのTSUBAMEなど、学内の名所を案内するキャンパスツアーや交流会の企画、運営です。昨年1年間の実施件数は15件で、教職員からも厚い信頼を得ています。
海外大学院留学説明会
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本学を訪問する海外学生向けのキャンパスツアー
活動を通して成長するメンバー
ほんの数人で始まったSAGEのメンバーは、今や30名余り。ひとつひとつのイベントをプロジェクトとして捉え、イベント毎にプロジェクトリーダー(PL)を設定し、単に国際交流の場を提供するだけでなく、参加者たちが国際交流を身近に感じるきっかけをどう作り出すか、イベントの真の成功とは何か、そのために何が必要かを話し合い、PLを中心に細かなところまでメンバー間で打ち合わせ、企画内容や運営方法を練り上げていきます。
はじめは単に「国際交流してみたい」「イベント作りって面白そう」など、気軽な気持ちで活動を始めるメンバーがほとんどですが、実際にいくつかのイベントを経験し視野が広がると、国際的な活動をすることへのハードルが低くなり、皆面白いように活発に活動するようになります。さらに、イベントの企画や運営を通じて、様々な角度から物事を考えて行動する力、そして未知のことに積極的に挑む姿勢が身に付くため、SAGE以外にも活躍の場所を広げていく学生が多いのも特徴のひとつです。
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イベント当日のメンバー
考え抜くこと、そしてかたちにすること
そんなSAGEメンバーの原動力について、新入生を迎えるための一連のプロジェクトでPLを担当したメンバーに話をききました。
平川さん(右)とASCENT参加学生
工学部機械宇宙学科3年
平川璃織さん
私はもともと引っ込み思案で、このPLも先輩から勧められるままにやり始めました。手探りでプロジェクトを主導する中、困ったことを相談すると、SAGEの先輩はいつも「100%の解決策」ではなく、考える余地を残した「突破口へのヒント」を私に与えてくれました。最初は仕方なく解決策を考えていたのですが、ふとそれが面白いと感じる瞬間が訪れました。あきらめずに疑問点を考え抜くことで、思いもよらない全く新しい解決策の発見にたどり着いたのです。それからは、新しい視点を発見するのがどんどん楽しくなり、他の人からの指摘や「ダメ出し」ですら、自分にない見方を得られる良い機会だと思えるようになりました。その指摘をもとに、さらに考えるようになると同時に、PLとして企画を練り、それをひとつのかたちにすることの魅力を実感しました。今まで新しいことに挑戦するのを恐れてばかりいましたが、一度やってしまえば私にもできるんだと思え、新たに挑戦したいことが次から次に湧き上がってきました。
どんどん広がるアイデア、続く進化
イベント当日は、SAGEのメンバーは常に裏方の存在です。そして、そこにたどり着くまでに、数々の地道な作業を積み重ねていきます。しかし、SAGEのメンバーはそれが楽しいと言います。同じ目標に向かってメンバーひとりひとりが本気で考え、学年の垣根を超えて真正面から意見をぶつけ合うことができる環境で、アイデアを「イベント」というかたちにしていくこと、この過程こそがSAGEの原動力だとメンバーたちは口を揃えます。SAGEの進化はとまりません。次はどんなイベントを仕掛けてくるのか、SAGEメンバーたちが織り成す活動に、今後もぜひご注目ください!