情報理工学院

「情報」はとらえどころのない対象です。その情報を見たり、分析したり、私たちが活用できるようにするために、高度な数学理論、高性能コンピュータの技術、人工知能等、数多くの研究が進められてきました。そうした「情報」に関する高度な理論から最先端の技術まで、理学と工学の両方の視点から追究しているのが情報理工学院です。多くの「情報」がコンピュータで処理できるようになり、より効率的に使えるようになってきました。けれども、「情報」とそれを処理するための計算に関しては、明らかにすべき真理や開発すべき技術が、まだ数多くあります。思いもつかなかった応用も沢山あるはずです。 情報理工学院では社会に貢献できる情報科学技術を目指し、「情報」に関する真理の探究と革新的な技術の開拓を進めていきます。
情報理工学院で学ぶ魅力
目指すのは技術の開拓と、情報に関わる真理の探究。
大規模化かつ多様化する情報を解析するための数理科学や計算機科学の基礎理論を学べます。また、それらの勉強を通して、実用的な技術ばかりでなく、情報とそれを処理するための計算に関する真理の探究に触れることができます。
ロボット開発の核となる人工知能について学ぶことができます。
社会的な注目を集めるロボットの分野で、ロボットの核でもある人工知能の開発に携われます。経験に基づいてコンピュータが自ら賢くなっていくために必要な、認識力や知識獲得能力を開発するための理論と実践を学ぶことができます。
人とコンピュータを結ぶ未来を構想し、その実現を目指します。
情報システム・情報サービスをつくり出すためのハードウェアやソフトウェアの設計・開発の最先端技術に触れられます。人とコンピュータとがより密接に連携できるような情報システムづくりの基礎から応用までを学ぶことができます。
情報理工学院の構成
情報理工学院 |
学士課程(1年目) |
学士課程(2~4年目) |
大学院課程 |
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情報理工学院 |
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学院研究センター |
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※ 複数の系に関連しているコース
情報理工学院の特色ある教育研究活動
サイバーセキュリティ特別専門学修プログラム
2016年4月に開設した本プログラムではNRIを中心として、楽天、NTT、産総研とも連携することにより、サイバーセキュリティの実践的な内容を学ぶとともに、東工大の情報・通信分野の特色である理論分野の強みも活かし、理論的背景にある知識も同時に身につけられます。
データサイエンス・AI特別専門学修プログラム
すべての大学院生を対象に、専門分野の境界を越えて、データサイエンスとAIを高度に展開できる知識とスキルを身につけるための新たな教育プログラムが2019年度に開始しました。ここではグーグルやヤフーなど先端IT企業と連携し、真に社会的課題を解決できるトップ人材の育成をめざしています。
社会的課題解決型データサイエンス・AI研究推進体(DSAI)
データサイエンスと人工知能(AI)に関する研究のハブとして、「社会的課題解決型データサイエンス・AI研究推進体(DSAI)」を2019年4月に設立しました。情報理工学院を中心に全学から多くの教員が参加し、産業界とも連携しながら、様々な社会的課題の解決を目指します。
スーパーコン(夏の電脳甲子園)
スーパーコン(スーパーコンピューティングコンテスト)は、スパコン上で行う高校生・高専生対象のプログラミングコンテストです。東工大の学術国際情報センターと大阪大学のサイバーメディアセンターが主催し、情報理工学院の教員が大阪大学の先生方と一緒に課題問題を作っています。1995年より毎年夏に熱い戦いが行われ、様々なドラマが生まれています。これまでに多くのプログラミングが大好きな若者を惹きつけてきました。
ソフトウエア開発を通して社会価値を創造する
社会全体におけるIT利用の拡大にともない、新しい価値を創造する高度ITスペシャリストの必要性が増大しています。当プログラムは、将来の価値を創造する手段としてのソフトウェア構築に必要な基礎概念や、それを基にした実用的問題に適用可能な理論、そしてソフトウェア開発の実践的な側面までの高度な専門性を持ち、近未来ソフトウェアの発想力を持つスペシャリストを実践的なカリキュラムを通じて育成しています。
新たな数学の創造
数理・計算科学系数理・計算科学コースでは、数学とコンピュータ科学の相互作用から産み出される新しい成果を期待して、トポロジー、非線形偏微分方程式、幾何学などの研究を行っています。リンク先の図は、左から、半導体モデル方程式の数値シミュレーション、曲面結び目、時空の極大曲面のグラフィックスです。
留学生と日本人学生とのIT共同研究開発プロジェクト
国際大学院プログラム「日本とともに先端ITをリードする人材育成プログラム」と連携し、日本のIT技術を世界に広める人材を教育するために、海外と日本の学生が互いに刺激しあいながらITの研究開発を行なうグローバル情報学特別研修プログラムを推進しています。
国内外の共同プロジェクト・コンテストへの積極的な参加
米国標準技術局や国立情報学研究所、情報処理学会等、国内外の学協会が主催する共同プロジェクトやコンテストに積極的に参加し、映像検索、情報検索、高性能コンピュータ等の分野において、世界中の多くのトップクラスの研究者と切磋琢磨しあいながら、最先端の研究を行なっています。
超スマート社会推進コンソーシアム
超スマート社会(Society 5.0)の実現を推進する「超スマート社会推進コンソーシアム」を設立し、参加機関と連携して人材育成から研究開発までを統合した新たな次世代型社会連携教育研究プラットフォームを構築しています。従来の共同研究や社会実装を目的としたコンソーシアムとは異なり、オープンエデュケーションとオープンイノベーションの融合を目指しています。
超スマート社会卓越教育院
超スマート社会卓越教育院では、修士・博士後期課程を一貫した学位プログラムにより、フィジカル空間技術とサイバー空間技術にとどまらず、量子科学や人工知能などの最先端の科学技術をも融合できる知のプロフェッショナル「スーパードクター」を養成しています。
学生メッセージ
わかるものとわからないものを対応させる楽しさ
情報理工学院 数理・計算科学系
永井渡さん(修士課程1年、2017年度)
変数の組にミューテーションとよばれる操作を繰り返すことで、新たな組をつくるクラスター変換を組み合せ論の視点から研究しています。組み合せ論の魅力は、良くわからないものと良くわかるものを対応させることで、良くわからないものを調べることができるところです。自身の研究では、目に見えない対象である「変数の組」と、目に見える「グラフ」を対応させることで、見てわかるようにできるところに楽しさを感じています。
人とコンピュータを繋ぐ、解決案を模索する楽しみ
情報理工学院 情報工学系
宮藤詩緒さん(博士後期課程2年、2018年度)
人とコンピュータとの関わりを研究するHCI(Human Computer Interaction)という分野で、実時間追跡・実時間投影を用いた球体型ディスプレイを設計開発する研究をしています。ディスプレイをボールのように球体型にすることで、回転や投げるといった動作をディスプレイの操作方法として組み込んでいます。
私の研究では、コンピュータの世界を現実世界に映し出し、人とコンピュータをより自然に繋ぐことを目的としています。ソフトウェアだけでなくハードウェアや操作方法も自分で実装し、実際に人に使ってもらうことで解決案を模索していく過程に楽しさを感じています。
情報処理技術を事業に応用して、人々に癒しや感動を与えたい
情報理工学院 情報工学系
山田優里子さん(学士課程4年、2019年度)
アルゴリズムなどの情報工学に関する技術的な側面だけでなく、社会に応用し人々に還元していくためのスキルや倫理面なども学べるのが魅力です。入学前から知識や経験が豊富な学生もいますが、私のようにゼロからのスタートでも安心して着実に力をつけていくことができます。将来は画像処理やVR・AR、センサーなど情報処理の技術内容をサービス業に応用して、人々に癒しや感動を与えたいです。
取得できる教員免許状
- 学士課程
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中学校教諭一種免許状(数学)
高等学校教諭一種免許状(数学・情報)
- 修士課程
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中学校教諭専修免許状(数学)
高等学校教諭専修免許状(数学・情報)