理学院

「自然界はどのようにしてできているのだろう?」という基本的な原理への興味や関心をモチベーションに、法則や論理を探究するのが理学です。理学院では、論理を積み重ねて構築される定理の美しさや、分子・原子から原子核・素粒子に至るミクロの世界の仕組み、さらには地球の内部や宇宙の構造に至るまで、あらゆる現象の奥に潜む法則を学びます。思考や実験によって、無限に広がる宇宙の構造を明らかにすることができる驚き。いろいろな物質同士を反応させて、誰も見たことのない新しい物質ができたときの喜び。直接見ることができない地球の内部の様子を推理して、地上の実験で検証する感動。 こうした最先端の研究の現場に接することのできる学力を育て、その力を基にして社会で活躍する卒業生を送り出すのが理学院の教育です。
理学院で学ぶ魅力
興味のある分野をより深く専門的に学ぶことができます。
自らの興味に基づいて好きな分野の勉強ができるのが第一の魅力。数学、物理学、化学、地球惑星科学の中から、入学後の学修によって本当に学びたい分野を見極めて進路を選ぶことができます。大学の科目は、高校でのイメージとは結構違うものですよ。
好きな分野の基礎力が鍛えられるので就職も好調です。
好きな分野の勉強ができて、しかも就職がいいのが理学院の強み。理学院の卒業生は基礎がきちんとできていて、企業の現場で問題が起きたときにも、その場しのぎでなく、根本的な原因を探って真の解決をもたらしてくれるとの高い評価を受けています。
気の合う仲間と出会えるので学生生活がより充実します。
優秀な仲間がたくさんいて、互いに刺激し合える環境があります。学生同士の自主的な勉強会も盛んで、 講義にとらわれずにどんどん先まで学ぶ人たちもいます。興味が近い人が集まっているので、勉学にも部活にも気兼ねなく打ち込むことができます。
理学院の構成
理学院 |
学士課程(1年目) |
学士課程(2~4年目) |
大学院課程 |
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理学院 |
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学院研究センター |
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※ 複数の系に関連しているコース
理学院の特色ある教育研究活動
講義カリキュラムの国際化の取り組み
近年の社会のグローバル化にともなって、講義のカリキュラムの国際化は重要な問題です。理学院では、2015年度より英語の専門教育担当のネイティブ専任教員による数学、物理、化学の講義を開始しています。留学生だけでなく、英語に意欲のある日本人学生の受講者も年々増加しており、理工系基礎科目の国際化は順調に進んでいます。
国際的なセミナー・講演の実施
理学院では、理学に関係する最先端の研究について、多くの外国人講師を招いてセミナーや共同フォーラムを開催しています。中には学士課程学生、大学院生が国際研究集会を立案・実行した例もあります。これにより国際的な最先端のアクティビティーに直接触れる機会を提供します。
教育の質のアップへの取り組み
理学院では、学生だけでなく、教員のレベルアップにも積極的に取り組んでいます。教員のための教育力アップの勉強会、そして教員による講義の相互参観も実施し、東工大生のためにいかに良い教育、環境を提供できるか、教授陣も本気で考えています。また、若手教員教育賞を設けて、年間2名の教員を表彰するなどの取り組みも行っています。
超スマート社会推進コンソーシアム
超スマート社会(Society 5.0)の実現を推進する「超スマート社会推進コンソーシアム」を設立し、参加機関と連携して人材育成から研究開発までを統合した新たな次世代型社会連携教育研究プラットフォームを構築しています。従来の共同研究や社会実装を目的としたコンソーシアムとは異なり、オープンエデュケーションとオープンイノベーションの融合を目指しています。
超スマート社会卓越教育院
超スマート社会卓越教育院では、修士・博士後期課程を一貫した学位プログラムにより、フィジカル空間技術とサイバー空間技術にとどまらず、量子科学や人工知能などの最先端の科学技術をも融合できる知のプロフェッショナル「スーパードクター」を養成しています。
学生メッセージ
4次元の図形を可視化する研究に取り組む
理学院 数学系
伊勢彩夏さん(修士課程2年、2017年度)
目に見えない4次元の図形をハンドルという形に分解し可視化することで、4次元球面を研究しています。高校までで扱う球面は2次元球面といい、数学の世界では2次元以外の球面を考えることができます。数学は複雑な計算や式変形といったイメージがありますが、「4次元の図形を可視化する」という作業はそれとかなり異なります。頭を悩ませることも多いですが、画期的で楽しく、やりがいを感じています。
美しい宇宙の神秘を紐解く
理学院 物理学系
ベルンス・ルカスさん(修士課程2年、2018年度)
宇宙にはまだ解明されていない部分がたくさんあり、星や人間を構成する物質が生成された仕組みもその謎の一つです。私達はその鍵を握っていると思われている素粒子・ニュートリノのビームを、東日本にある加速器から300 km離れたスーパーカミオカンデ検出器に打ち込み、その性質を詳しく調べることで物質の起源を解明しようとしています(T2K実験)。世界中の協力により少しずつ見えてくる宇宙の神秘にワクワクが止まりません。
世界中の研究者と協力して宇宙の成り立ちを明らかにする。
理学院 物理学系
泉山将大さん(修士課程1年、2019年度)
私は素粒子についての研究をしています。素粒子とは、物質を分子、原子と小さく分解したとき、これ以上分解することができない、自然を構成する最も基本的な粒子です。素粒子の種類や性質を理解することにより、宇宙の始まりといった自然についての根源的な問いに答えることを目指しています。素粒子物理の実験は非常に大規模で、世界中の研究者と協力し合いながら研究を進めています。
遷移金属が持つ可能性は未知数。やりがいのある研究です
理学院 化学系
渡邊翔也さん(博士後期課程1年、2017年度)
遷移金属錯体を用いて、単純な有機化合物から複雑な炭素骨格を合成する反応の開発を行っています。遷移金属とは周期表の第3族から第11族に存在する元素の総称で、これらを利用した有機反応の開発は世界中で行われています。遷移金属が持つ可能性は未知数であり、非常にやりがいのある研究です。この研究を通して、材料や医薬品の合成につながる革新的な有機反応の開発をめざしていきたいです。
新たな反応開発や、複雑な炭素骨格を有する化合物合成に取り組む。
理学院 化学系
高野拓人さん(修士課程1年、2019年度)
私の研究では、α, β - 不飽和カルベンというものを用いた新たな反応の開発や、複雑な炭素骨格を有する化合物の合成に取り組んでいます。想定外の結果が起きた時、なぜこのような現象が起こるのかを考えることは面白いですし、望みの化合物をやっとの思いで合成できた時には達成感があります。合成容易な分子から複雑な化合物を一挙に構築することが夢なので、今は日々の研究活動に励んでいます。
小惑星ベスタがいつどのように形成され、進化してきたのかを解明する
理学院 地球惑星科学系
鏡味沙耶さん(博士後期課程1年、2016年度)
火星と木星の間にある小惑星ベスタの、約45億年前の情報を知ることが魅力で、最先端の化学実験を自らの手で行い、未知のデータを得ることができることに楽しさを感じています。地球惑星科学を多くの人に知ってもらいたい、女性研究者も増えてほしいという思いがあるので、アウトリーチ活動に積極的に参加し、多くの一般の方との触れあいも大切にしていきたいです。
惑星形成で一つの確立したシナリオの構築が大きな目標
理学院 地球惑星科学系
桑原歩さん(修士課程2年、2019年度)
生まれたばかりの星の周りには、ガスやダストで構成された原始惑星系円盤と呼ばれる構造がつくられます。惑星は、そんな円盤の内部において、小さなダストが衝突合体を繰り返すことによってつくられると考えられています。私は、惑星の周りにまだガスが残っている惑星形成過程の途中段階に着目し、惑星の周りを流れるガスが惑星形成にどのような影響を及ぼすのか、流体力学的な手法を用いて研究しています。
取得できる教員免許状
- 学士課程
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中学校教諭一種免許状(数学・理科)
高等学校教諭一種免許状(数学・理科)
- 修士課程
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中学校教諭専修免許状(数学・理科)
高等学校教諭専修免許状(数学・理科)