イマを創る、先輩がいる — 宍戸沙夜香さん
社会に役立つシーズを拾い出す
新エネルギー・産業技術総合開発機構
スマートコミュニティ部 主任
宍戸 沙夜香
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インドネシアでの実証実験に向け、現地に出向き自治体と意見交換
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関わる仕事の分野は多様。常に新しい知識を積み重ねていく
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制作に携わった「実用化ドキュメント」のWEBページ
- 上: インドネシアでの実証実験に向け、現地に出向き自治体と意見交換
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- ししど・さやか
- (東京都出身)
- 2001年
- 東京工業大学 第1類 入学
- 2007年
- 同大大学院 理工学研究科
物質科学専攻修士課程を修了 - 同年~
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構に勤務
スマートコミュニティの国際実証などに従事
東工大大学院理工学研究科で化学を学んだ宍戸沙夜香さん。2007年にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)へ就職し、活躍の場を世界へと広げています。
もっと視野を広げ、グローバルな仕事を
—現在、NEDOではどんな業務に携わっているのでしょうか?
住まいの太陽光パネルで発電して、電気自動車で街を走る。すでにそうした暮らしが当たり前になりつつあります。そうなると、余った電気を蓄えて夜に使ったり、ほかの施設へ融通する仕組みがあったほうが効率的─。スマートコミュニティ部で、そんな街づくりのあり方を実証しています。欧米やアジアなどでの実証実験も手がけており、海外出張も頻繁です。グローバルな視野を身に付けて、インフラ技術の輸出などにもつなげていきたいですね。
—学生時代に専攻していた化学とは異なる分野のようですね。
実は化学って、無機物でも有機物でも、世の中のあらゆる現象を解明できる幅広い学問なんです。その間口の広さが、様々な不思議に触れたいという私の好奇心にフィットしていました。その点、NEDOも取り扱う領域は多種多様。例えば昨年まで所属していた部署では、30年間にわたるNEDOプロジェクトの成果をまとめた「NEDO実用化ドキュメント」に携わりました。様々な関係者から話を聞き、実用化に結び付いたプロジェクトの歴史をひもとく仕事です。最先端の技術から開発の舞台裏まで、多様な知識に触れられる。そんな所も面白さと言えます。
面白いを突き詰めれば、世界が変わる
—東工大での経験は現在どんな部分に活きていると思いますか?
今でも覚えているのが、「役立つような研究は理学ではない」という教授の言葉です。すぐ製品化につながる知識は、その製品が廃れれば無用となってしまうかもしれない。けれど50年、100年と受け継がれる知識は、今は役立たなくても、いずれ人類の進化につながっていく。一見、目的がない研究でも、誰かの面白いを突き詰めれば、世の中を大きく変えられるかもしれない。それは新鮮な驚きでした。とはいえ、興味だけで突っ走ってはだめ。様々な研究者の発見から社会に役立つシーズを拾い出し、実用化へと橋渡ししていく。そんな役割をNEDOで果たしていきたいと考えています。
(2013年取材)