小西健太さんは東工大に入学後、東京工業大学アメリカンフットボール部バッファローズに入部しました。しかし入部当初は何を目指すべきかさえも分からない状態でした。それから3年経った今、4年生となった小西さんはチームの主将を務めています。夢は、バッファローズを関東アメリカンフットボールリーグの2部リーグから、栄えある1部リーグに昇格させることです。創部から20年、過去に一度もバッファローズが成し遂げられなかった悲願です。
「昨シーズンは好調で、1部昇格に手が届きそうなところまで行きました。」と小西さん。「今、いい選手が何人かいて、ハードな練習とトレーニングを重ねています。ですから、今シーズンは1部リーグに昇格する可能性は十分にあると思っています。」
東工大では、熱心に部活やサークルに取り組む学生が多くいますが、それでも学業をおろそかにするわけにはいきません。このような状況でも、バッファローズはアメフトというハードなスポーツで、なおかつ競争の激しい2部リーグでしっかりと成果を挙げています。対戦相手の他大学のチームと比べると、バッファローズのプレーヤーは比較的小柄でパワーも劣る傾向にあります。
「これは条件的に不利です。」と小西さん。「ですから、体格も良く強い相手に勝つためには、よりハードにトレーニングし、1つ1つのゲームを正しい戦略で戦わなければならないのです。」
そのため、約50名のプレーヤー、コーチ、サポートスタッフは週に5回集まって練習とトレーニングをした上に、さらに戦略や戦術のディスカッションに何時間も費やします。実際のプレーシーズンは3ヶ月ほどですが、長野などで毎年行う夏合宿を含め、トレーニングや練習は年間を通じて行われます。
こうした熱心な取り組みとハードなトレーニングで得られるものは何でしょうか?驚くほど強靭な体格を作り上げるだけでなく、小西さんは心底ゲームを楽しんでいます。「ルールは複雑ですが、だからこそラグビーやサッカーとは違った面白さがあると思います。タックルしたり、ブロックしたり、ランをすれば相手とぶつかりますが、試合中はあまりに興奮していて、試合が終わって初めて痛みを感じるほどです。」
Tokyo Institute of Technology Bulletin No. 14(2010年1月)