「柔道」という言葉は「柔らかな道」と書きます。「柔」には「穏やか」などの意味がありますが、柔道経験者なら誰しも柔道が穏やかとは程遠い武道であることはわかっています。
「柔道の練習や試合は厳しいです」と話すのは柔道部キャプテンの武井悠人さん(工学部機械宇宙学4年)です。「お互いに相手を倒すために対戦するわけですから、肉体的な強さと同じように精神的な強さも要求されます。」
2007年に100周年を迎えた柔道部は、週に4回、毎回2時間というハードなスケジュールで練習を行っています。「定期的に練習しなければ、どんどん弱くなり試合に勝てなくなってしまいます。」と話す武井さんは、小学生の頃から日常的に柔道の練習をしてきたそうです。
しかし、その一方で柔道部では初心者、経験者を問わず気軽に柔道をやってみたいという人も歓迎しています。「特に留学生の方には日本発祥の武道である柔道をぜひ体験してもらいたいです。」と武井さんは強調します。
毎年、柔道部は多いときで7大会に出場します。今年はすでに2大会の団体戦で優勝しています。そのうちの一つは東京地区国公立大学体育大会で、東工大は初優勝を飾りました。9月に行われる次の大会は、東京の国立・私立大学両方から選手が出場する個人戦です。
「この大会は、重量階級ごとに分かれて戦う個人戦です」と話してくれたのは、部員の前川泰之さん(工学部機械知能システム学科3年)です。前川さんは、「ある日突然柔道をしたいと思い立って始めましたが、今ではもうやめられなくなってしまいました。もしやめてしまえば、すぐに弱くなってしまうでしょうね。」と話してくれました。
武井さんはもちろんのこと、柔道部員にとって柔道は単なるスポーツ以上のもののようです。「柔道はもはや私の人生の一部で、これからもずっと練習していくと思います。たとえ、相手が自分よりも強くて試合に負けたとしても、それは自分の実力を確認し、さらなる上達を目指すための糧になります。」
Tokyo Institute of Technology Bulletin No. 18 (2010年9月)