理学院 数学系 学士課程2年
東工大を目指すことになったきっかけ
高校1年生のときに「一日東工大生」という体験イベントに参加して、同じ高校を卒業した東工大生の先輩と交流する機会がありました。先輩が楽しそうに話しているのが印象的で、この大学には勉強を熱心に取り組んでいる人がたくさんいるとわかり、私も学びたいと思ったのが東工大を志望したきっかけです。高校3年間で毎年イベントに参加しましたが、1年生のうちに受験を決意しました。
理学院の数学系を目指したのは、大好きな数学が一生懸命勉強できると思ったからです。もともと数学の抽象的な概念や難解な問題に惹かれ、本を読んだり考えたりする時間がとても好きでした。少しずつ考えを積み重ねていくと、あるとき何かひらけた感覚を覚えることがあるんです。わからないことがわかるようになる、それが嬉しくて一番やりがいを感じます。
受験勉強時代について
私は高大連携特別選抜で入学しました。高校2年生のときに先生から話を聞き、そういう道もあるんだ、チャンスがあるなら受けてみようと思ったんです。一般入試(現一般選抜)のような筆記試験はなく、まず高校3年生の8月に2泊3日で行われるサマーチャレンジという夏季集中プログラムに参加して、東工大の先生の講義を修了します。その後に志望理由書を書いた上で、大学から出願の許可を得られた人が11月の面接を受けられるんです。
内申書や特別活動の記録、模試の結果なども提出しますが、明確な基準を知らされていなかったので、出願許可が得られるかどうかは運なのかなと思っていました。どういう気持ちでいればいいかわからず、不安の方が大きかったですね。無事、9月に出願資格が得られましたが、12月までは一般入試の勉強もやっていました。
東工大で今、打ち込んでいること
解析概論、代数学概論、線形空間論など数学系の授業を受けています。線形空間論は1年で学んだ線形代数に近い印象です。指定教科書以外にもともと持っていた本を皆で読んだりもしています。
高校までの数学とは違って入り組んだ複雑な問題が多く、思考したものをそのまま書いてしまうと自分しかわからないような記述になってしまいます。すべてを咀嚼して、どう並べたらわかりやすくなるか考える工程を一度挟まないといけないんだと2年になり実感しています。
数学以外だと人文学系ゼミの博物館と歴史学という授業で、博物館のあり方や古文書の読み方を聞きました。私は博物館に行くのが好きなので興味深かったですね。
ほかには、大学からはじめた管弦楽の活動に打ち込んでいます。オーケストラのサークルは春と冬に定期演奏会があって、100人前後で演奏するんです。プラタナスの会というサークルでは主にピアノのアンサンブルをしています。高校まではバスクラリネットを吹いていましたが、今はファゴットという楽器を担当していて、その練習に励んでいます。
東工大の理学院に入ってみて
東工大に入ってから、本当に数学が大好きな人がたくさんいるんだなって感じています。数学系の人と話す機会があると特にそう思いますし、一緒に本を読んだり、それぞれの考えを言い合ったり、いい刺激をもらえる環境でモチベーションが高まります。
理学院には、勉強に対してすごく真面目な人が多いです。たとえば授業終了時の質問タイムで、学生が気になる質問をしたら先生が嬉しそうに答えてくれるように、学生も先生も数学好きだと伝わってくるんです。研究している内容について楽しそうに話してくださったり、空き時間の雑談も興味深かったり。
「どうして数学をやっているの?」という問いに、「楽しいから」という答えがいろんな人から返ってきます。それほど純粋に数学を楽しんでいる人が多いのは、この理学院ならではだと思います。
コロナ禍での過ごし方
家で自分1人だけという環境に、朝はなかなか起きられずついつい怠けてしまうこともありました(笑)。午後は演習の授業が長く、身を入れて取り組めました。たとえば13時から17時までずっとZoomを繋げながら各自問題を解いて発表をしたり他の人の発表を聞いたりしました。先生が喋り続けているわけではなく、周りと一緒に勉強しているという環境を実感できて、しっかり問題を解こうという気持ちになれましたね。
今後の目標や将来の夢について
はっきりした夢はまだなく、今はただ数学をやっていたいと考えています。今の私は数学の入口に立ったばかり。まだまだ入門書を読むくらいしかできていないので、もっといろんな本を読みたいなというのが近い目標です。2年の第2クォーターまでに学んだ概論の一歩先にも目を向けて、より専門的な知識を深めていきたいです。
また、塾講師や家庭教師をしていて、妹に教える機会もあるんです。そのときに「数学って面白いんだ」って反応が返ってくることがあって、それがすごい嬉しくて。将来、教える側になる道もひとつの候補にあがっていて、もともと興味があった教職課程の科目も選択して取り組んでいます。
One Day of a Tokyo Tech Student
通学しているときの過ごし方
6:15
起床、朝食、準備など
7:00
登校
9:00
授業
10:45
授業
12:25
昼休憩
コミュニケーションラウンジなどで友人と昼食。たまに東工大オーケストラサークルの部室で昼食とファゴットの練習をします。
13:20
授業
15:00
自由時間
図書館や知っているカフェで課題をやったり、本を読んだりして過ごします。
17:00
サークル活動
東工大オーケストラサークルの部室でファゴットの練習に励みます。
19:30
帰宅
21:00
夕食
22:30
自由時間、勉強
0:30
就寝
オンライン授業のときの過ごし方
7:45
起床、朝食、準備など
8:30
休憩
8:50
課題、予習復習など
10:00
自由時間
10:30
準備
10:45
授業
12:35
昼休憩
ご飯を作ったり買いに行ったりして食べます。時間があったらファゴットを吹いたり、寝たりして過ごします。
13:30
授業(演習)
Zoomで参加しながら問題を解き、グループで画面共有を用いて発表をしたり他の発表を聞いたりします。
17:30
勉強 or 課題
18:30
散歩
19:30
夕食
21:00
自由時間(休憩)
23:00
勉強 or 課題
0:30
就寝
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所属しているサークル/部活動は?
オーケストラとプラタナスの会のほかに、学内とインカレの2つの数学サークルに所属しています。数学サークルはゼミ形式で、本を一緒に読んだり順番に発表したり、専門の勉強の延長として活動しています。
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一番好きな授業・研究や、印象に残っている授業・研究は?
たとえば、ある定理の名前がフランスの国鉄の仕組みをもとに付けられているだとか、面白い裏話をしてくださる先生が多くてどの授業も楽しいです。 今年はコロナ禍の影響でオンライン授業となり、試験もレポート中心でしたが、カールマン・タマシュ准教授の試験が1対1の面談だったのは、一番緊張しましたし印象に残っています。この事実を述べてください、これを証明してくださいという問いに、口頭で答えて証明することが自分の理解度に直結しているんだと実感しました。
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アルバイトはしていますか?
去年1年間は塾講師をやっていて、今年からは週に1回くらいのペースで家庭教師をしています。 また、去年の冬からカフェでも週1、2回、長期休みなら3回くらいで働いています。
Profile
落合琴美(Kotomi Ochiai)
理学院 数学系 学士課程2年 埼玉県出身
高校生、受験生に向けて一言!
高校生、受験生に向けて一言!
私は高校が大学の附属でキャンパス内にありましたが、そこと比べても東工大のキャンパスは広く日差しが当たって気持ちいいです。雰囲気だけではなく、学生でも講義室やセミナー室などを気軽に借りることができたり、図書館の自習スペースが使いやすかったり、とにかく勉強をする環境が整っています。何かひとつの分野でも多分野でも、自分が好きな勉強をしたいという思いに応えてくれる場所だと思います。
本インタビューは東京工業大学のリアルを伝える情報誌「Tech Tech ~テクテク~ 38号(2020年12月)」に掲載されています。広報誌ページから過去に発行されたTech Techをご覧いただけます。
(2020年取材)