イマを創る、先輩がいる — 田中浩征さん
日々新しいものをつくりだしていくのがVFXクリエーターの仕事
株式会社TBSテレビ
技術局CG部
田中浩征
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デスクトップ上で、様々なCG画像を合成していく
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VFXを担当したドラマの台本。有名なドラマも多数含まれている
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日本映画テレビ技術協会・映像技術賞を受賞したときの盾と賞状
- 上:デスクトップ上で、様々なCG画像を合成していく
- 中:VFXを担当したドラマの台本。有名なドラマも多数含まれている
- 下:日本映画テレビ技術協会・映像技術賞を受賞したときの盾と賞状
- たなか・こうせい
- (長野県出身)
- 1986年
- 東京工業大学 第4類 入学
- 1990年
- 東京工業大学 第4類 卒業
- 1992年
- 東京工業大学 大学院機械物理工学専攻 修士課程修了
- 同年から、株式会社TBSテレビ勤務
VFX(※1)クリエーターとして活躍する田中さん。
大学時代の研究と仕事の共通点について語っていただきました。
大学の実験と近いVFX制作
—テレビ局に就職したきっかけを教えてください。
モノをつくるのが好きなので、ルーティンワークではなく日々新しいものをつくれること、若いうちから自分の責任で仕事を進められる職業を目指していました。また、ダンスサークルに所属していたこともあり、舞台やステージへの興味から、テレビ局の仕事を選びました。
—現在の仕事と大学で学んでいたこととのつながりは?
現状を正確に認識して、把握・分析し最良の方向を決定していくプロセスです。大学では機械物理で切削工学の研究をしていました。トライアルアンドエラー(試行錯誤)の繰り返しで、実験装置の設計・製作をして実験し、理論値と実験値が違えばその原因を探る。VFXクリエーターという仕事も、最終的なイメージを想定し撮影方法を考え、つくりだし、できたものが想像していたものと違ったら、修正方法を考える。こういったアプローチの仕方は、理系的で、学生時代に行っていた実験とすごく近いものがあります。
「伝える」コミュニケーション力
—VFXクリエーターとして、仕事するうえで大事なポイントは?
大切なのは監督やスタッフと共通のイメージを持つことです。監督が描いている映像を理解した上で、そのもの、もしくはそれを超えたものをつくる。そのためには俳優やスタッフがそれぞれの立場で何をしたら良いか正確に伝えなければなりません。理系出身の人はコミュニケーションが苦手な人が多いと思いますが、VFXクリエーターとしての仕事は、自分の考えたことを正確にわかりやすく伝えられるコミュニケーション能力が大事になってきます。
—受験生にメッセージをお願いします。
私は小学生の頃から遺跡の発掘が好きで、よく手伝いをしていました。そのときの仲間の1人は歴史家になりましたが、私は歴史への興味よりも、発掘したものをどう復元するかなど科学的なアプローチに関心が移っていきました。自分の興味が、本当はどこに向いているのか。よく考えて知ることが大切だと思います。
※1 VFX:Visual Effects(ビジュアル・エフェクツ)の略。
コンピュータグラフィック技術を用いた特殊な視覚効果のこと。
(2011年取材)