専門分野×データサイエンス・AIが生み出す無限の可能性

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共創型エキスパートを育てる ―東工大のデータサイエンス・AI

現代社会に巻き起こるさまざまな問題解決の糸口として「データサイエンス・AI(DS・AI)」が注目を集める。
東工大は、かねてより取り組んできたデータサイエンス・AI教育を2022年度からさらに拡充。
最先端の学びによって広がる可能性について、データサイエンス・AI全学教育機構の三宅機構長に話を伺った。

東工大が推し進めてきたDS・AI教育

多様な社会課題に対応できる力を養成

三宅美博教授

三宅 美博

データサイエンス・AI全学教育機構長/情報理工学院
教授

研究室ウェブサイト(External site)

研究者情報(External site)

専門分野は共創システム、コミュニケーション科学、非線形科学、ヒューマンコンピュータインタラクション。主に人間のコミュニケーションの分析、数理モデル化に取り組んでいる。

社会が変革期を迎え、かつての常識では推し量れない問題があふれている昨今。これまで研究を始めとするアカデミックな領域で行われてきた「創造」は、今では未知の問題が生じる社会のあらゆる場面で必要とされています。特に発展が著しいデータサイエンス・AI分野において、課題を発見して解決策を探り、ビジネスとして成立させる「創造力」は不可欠です。東工大はこうした潮流をいち早く捉え、2019年に「データサイエンス・AI大学院全学教育」を開始。2021年には学士課程を対象とした科目も設けるなど、着実に学びの輪を広げています。さらに、2022年度は「データサイエンス・AI全学教育機構」を設置。専門分野の境界を越えて課題解決・教育指導を行う「共創型エキスパート」人材を育成することを目的としています。

ハイレベルなDS・AI教育によって「共創」する未来へ

社会との連携で広がる新たな学び

共創型エキスパート(1)DS・AIを駆使する(2)DS・AIで交わる(3)DS・AIを教える

「共創型エキスパート」とは、(1)DS・AIを駆使できる理論的な基盤を身に付け(2)DS・AIを介して多様な専門を持つ人々と交わり(3)DS・AIの未来を担う若者を教えられる人材を指します。こうしたスキルを効率的に修得できるよう、東工大ならではの工夫を盛り込みました。まず、データサイエンス・AI全学教育科目をすべての学院・学年に開講し、専門分野の垣根を越えた交流を実現。さらに、38社の企業と共同で教育コンソーシアムを形成し、実践を見据えた学びを提供しています。また、文部科学省により選定された「数理・データサイエンス・AI教育の全国展開の推進」拠点校として、他大学の教育支援にも力を注いでいます。英語で行われる一部の大学院授業を海外大学へ配信していることも特長です。多彩な学びを通じて、データサイエンス・AIが分野の異なる人々にとっての「共通言語」になれば、より深い会話や技術交流ができるようになり、「共創」につながるはずです。発展的・実践的な内容を網羅したエキスパートレベルの学びは、国内におけるデータサイエンス・AI教育の標準モデルとしても重要な役割を果たすことでしょう。

Student Voices

受講科目:基盤データサイエンス演習 実践を通した学び データサイエンスの手法を学び、建築分野に応用

今出川 祐亮さん

今出川 祐亮さん

環境・社会理工学院 建築学系 修士課程2年

受講中の様子

クラスタリングや回帰分析といったデータサイエンスに関するさまざまな手法を、プログラミング言語「Python」を使って学習。実際にコードを記述し、実行した結果を見ながら学んだことで、体感的に知識・スキルを習得することができました。目的に応じてどのような手法を用いればよいかを分かりやすく解説いただき、自身が専攻する建築学の研究に応用する際にも、活用の仕方がイメージしやすかったです。建物の情報や画像などのデータから分析を行うことで、より第三者の評価軸をデザインに取り入れた設計が可能になると考えています。

受講科目:実践AI・データサイエンス 幅広い業界に通じるDS・AI 数学の知見を生かして挑戦を続ける

小澤 真実さん

小澤 真実さん

情報理工学院 情報工学系 修士課程1年

難しいイメージを持たれやすいDS・AIですが、実はさまざまな技術の根本は数学にあり、東工大で学んだ情報工学系の知識を生かして学びを深めています。授業の中で特に印象に残っているのは、「実践AI・データサイエンス」。オムニバス形式で毎回異なる企業のデータサイエンティストの方の講義を受け、DS・AIの知識を駆使して社会課題への対応を考えるなど、実践的な問題に取り組みました。一見DS・AIと関係がなさそうな業界でもデータを使いこなせる人材が強く求められていると知り、学びの重要性を実感できたことも良い収穫だったと思います。

実践AI・データサイエンス協力企業(2022年度)

ソニー株式会社・日本ガイシ株式会社・三菱電機株式会社・AGC株式会社・株式会社IHI・旭化成株式会社

2022年度から始まる東工大のDS・AIプログラム

新たなデータサイエンス・AI全学教育プログラムは、段階的に幅広い内容を学べるよう設計されています。学士課程1年次で受講できるのは「リテラシーレベル」にあたる基礎系科目。今後の土台となる知識を身に付け、学士課程2~4年次に「応用基礎レベル」の学びを深めます。さらに、大学院では本プログラムの中心となる「エキスパートレベル」の学びを展開。修士課程では基盤系・応用系・実践系科目群を、博士後期課程では発展系・先端系・共創系科目群を受講することで、高度な知識やスキルを身に付けます。大学院では実際の企業における課題解決の方法を学んだり、データサイエンス・AIを扱う第一線の研究者から話を聞いたりと、実践的な学びを数多く用意。他者との交流や指導の場を提供する共創系科目群なども設けており、多種多様な学びを通じて社会で活躍するための基盤を築きます。

データサイエンス・AI全学教育プログラムの体系

Tech Tech ~テクテク~

本インタビューは東京工業大学のリアルを伝える情報誌「Tech Tech ~テクテク~ 42号(2023年3月)」に掲載されています。広報誌ページから過去に発行されたTech Techをご覧いただけます。

(2022年11月取材)

お問い合わせ先

東京工業大学 総務部 広報課

Email : pr@jim.titech.ac.jp