受賞学生特集

東工大生 X 受賞 ミクロの世界から宇宙まで、あらゆる領域で研究開発を行う東工大生。その成果は、様々な形で注目されています。表彰をはじめとする客観的な評価もその一つで、学生たちにとっては活動のさらなる原動力。栄誉ある受賞のうち、3件をここに紹介します。

第27回

独創性を拓く 先端技術大賞2013年6月

「科学技術創造立国」の実現に向け、優れた成果をあげた若手の研究者、技術者を表彰する「独創性を拓く 先端技術大賞」。27回を数える歴史ある同賞の「学生部門」で、顧さんは最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞しました。その研究内容は、光スキャナの革新。ディスプレー、プリンター、光スイッチなど多様な機器に組み込まれる重要な装置の新たな可能性を見いだしました。授賞式には高円宮妃久子さまも出席され、受賞者の柔軟な頭脳、独創性あふれる思考能力を讃えました。

一般に、光スキャナではミラーを機械的に高速回転させることでレーザー光を細かく分解しています。しかし顧さんは、光の波長を利用してその方向を変える方法を追究しました。非機械式なら、ミラーの回転速度がスキャン速度を制限することもなく、小型化にも適しているためです。実際、研究で製作したデバイスの大きさは数ミリ×数ミクロン。光スキャンの活用領域を格段に広げる可能性を示しました。

2009年、顧さんは学部4年生の時に中国から東工大に留学してきました。その理由は、世界的にも最先端の研究環境で自分を試してみたかったからだと言います。「人生の中での貴重な経験になると考えて留学を決めました」と顧さん。「実験の装置などが整備されているのはもちろん、何より指導教授の小山二三夫先生や研究室のメンバーの熱心さや追究心が大きな魅力です。日常的な議論もとても刺激的で、私もそこから研究のヒントをたくさんもらいました」。

そんな顧さんが、研究活動の中で最も大切にしていること。それは、"思いついたアイデアはすぐに試す"こと。今回の研究も、パソコンでレーザー光の動きをシミュレーションし、実際にデバイスを製作してデータを取ります。その結果をもとに再びシミュレーションを行うというのが基本的な流れになります。そこで求められるのは、「次にどんなデバイスを作るか」という新たな工夫や発想にほかなりません。

だとすれば、迷っているより行動した方がいい。間違いが分かれば、次にすべきことも見えてきます。「なので、これはどうかなという思い付きも、できる限り実験してみました。基礎研究を担う大学の研究では、失敗も貴重な成果。もともと僕は楽観的な性格なので、ちょっとくらい上手くいかなくても落ち込まないんです(笑)」。例えばスパコンの小型化など、将来的に様々な領域での活用が期待される画期的な光スキャン。ミクロン単位の小さなデバイスがどんな大きな成果をもたらすか、これからが楽しみです。

独創性を拓く 先端技術大賞

研究内容を紹介するポスター。授賞式の際も、これをパネルにして、高円宮妃久子さまなど来賓に研究の目的やポイントなどを説明しました。

独創性を拓く 先端技術大賞

学生部門のグランプリにあたる「文部科学大臣賞」の賞状。

顧暁冬さん 大学院総合理工学研究科 物理電子システム創造専攻 博士課程1年 (取材当時)

ARLISS"Mission Competition"優勝2013年6月

AXELSPACE CUP優勝2013年10月

AXELSPACE CUP優勝

土星の衛星・タイタンにパラシュートで降下しながら気圧と温度を計測。着陸後は、パラボラアンテナを広げて降雨状況を送信します。
そんなミッションを想定したCanSat(空き缶サイズの人工衛星モデル)を開発し、権威ある2つの大会で優勝を果たしたチーム「TITANIKU」。メンバーは、「機械宇宙プロジェクトA」という授業を選択した機械宇宙学科の学生たちです。

チーム名:東京工業大学 TITANIKU チームメンバー:3年太田佳さん(プロジェクトマネージャ)/3年安部拓洋さん/3年上田直樹さん/3年上原大暉さん/3年小沢尭也さん/3年倉重宏康さん/3年高橋正人さん/3年宮坂篤史さん/3年山村悟史さん/4年川口健太さん(メンター)/4年中嶋駿さん(メンター)(取材当時)

1つ目の優勝となった「ARLISS」は、毎年米国ネバダ州で開かれる、主に大学生を対象とした国際的なCanSat打ち上げイベント。1999年から開催されており、昨年も7カ国、22チームが参加しました。そして、ダブル受賞となった「AXELSPACE CUP」は、日本のアクセルスペース社などが学生のCanSat開発を支援するために昨年立ち上げた取り組み。「TITANIKU」は3チームが参加した審査会で見事トップの座を勝ち取り、開発費の援助も獲得しています。

「今回世界一になれたのは、タイタンの気象観測という実践的なテーマを設定し、それに向けた課題解決がしっかりできたから。開発したCanSatは、熱対策などを施し、十分なバッテリーを搭載すれば、実際にタイタンで活動可能な機能を備えています」と言うのは、プロジェクトマネージャの太田さん。単に作りたいものを作るのではなく、現実の衛星探査を想定したストーリーを組み立て、それを成功させたことが、審査員からの高い評価につながったのです。

加えて、「TITANIKU」の強みとなったのが抜群のチームワーク。開発の過程では、Aの方法か、Bの方法か、選択の時が訪れます。そんなとき、実は重要なのが"最終的に全員が納得する"ことだと言います。考えの違いは、チーム全体の足並みの乱れを生みかねません。「そのため、意見が分かれた時は徹底的に議論をし、中身を一つ一つ検証するよう心がけました。可能な場合は、実際にテストをして成功率の高いものを採用する。そうして何事にも筋を通したことがチームの結束力を強めたんだと思います」(太田さん)。

さらにもう一つ、メンバーが共通して口にするのが「皆で協力し、プロジェクトに取り組むことの面白さ」です。スケジュールや予算の管理、プレゼンテーションなどを含めた幅広い活動は、自身の強みを確認し、他人の魅力を知る機会にもなったはず。チームとしての経験は、今後の一人一人の研究開発にきっと活かされるに違いありません。

AXELSPACE CUP優勝

世界一となったCanSatの実物。パラボラアンテナの直径は約19cm。実際に気象観測ができるレーダーなどを備えています。

AXELSPACE CUP優勝

「ARLISS」(手前)と「AXELSPACE CUP」(後ろ)の優勝の記念盾。

鳥人間コンテスト 優勝!

「鳥人間コンテスト2013」の人力プロペラ機・ディスタンス部門で、3大会ぶり5度目の優勝を果たしたのは、ものつくりサークル「Meister」。実に20,399mも飛んだ今回の機体で大切にしたのは「パイロットにやさしいこと」。シートの位置が数ミリずれてもパイロットの感じ方は変わるため、シートとペダルの間隔などに徹底してこだわりました。東工大生の研究に対する想いや情熱─。それは授業や研究室の中だけに留まらず、サークルをはじめ様々なところに息づいています。

ものつくりサークル Meister