イマを創る、先輩がいる

いつか誰もが自由に宇宙へ行けるように! 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 研究開発本部 岩佐 稔

太陽電池やその宇宙での活用を研究したいと、他大学から東工大大学院へ進学した岩佐稔さん。博士課程を修了し、現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)で研究職を務めています。

今も忘れられない恩師の言葉

―東工大大学院時代の経験で最も印象に残っていることは?

宇宙空間で太陽電池の故障などを引き起こすプラズマ。その影響をいかにコントロールするかが研究テーマでした。スペースチャンバーという擬似的な宇宙空間と向き合い、日々実験を繰り返したことが研究者としての基礎力を養ってくれたと思っています。ただ、それ以上に今の私の糧になっているのは、担当教授だった小田原修先生の「やりたいことと、やれることは違う」という言葉です。

―「できないことは諦めろ」という厳しい言葉に聞こえますね。

初めは私もそう思いました。でも、真意はそうではありません。「今やれることが、自分の目標や目的とどうつながっているか。それを徹底的に考えろ」というのが先生のメッセージです。実際、どんな研究も「やりたい」だけでは決して前に進まない。自分の持っている能力や技術で具体的に何ができるのか。今、何をすべきか。それを考え抜く姿勢を大学院で学べたことは、本当に大きかったと思います。

内閣府への出向で得た新たな視点

―宇宙にかかわる研究者として大事にしていることは何ですか?

きっとどんな分野の研究者も、これまで世界になかったものを生み出したい。そんな気持ちを持っていると思います。ただ、常に最高レベルの安全性や信頼性が求められる宇宙分野は、それが難しい領域。どうしても、うまくいった前例をベースに物事が進んでいくからです。まさにそこで活きてくるのが、大学院で身に付けた「自分なら何ができるか」という発想です。確固たる信念を持ってオリジナルを追求することこそが、革新を生み出すと信じています。
2013年には約1年間、JAXAに在籍しながら内閣府の総合科学技術会議事務局で国の科学技術政策に関わる仕事をしました。民間企業や大学から集まった人たちと働く中で、視野も広がったように思います。そこで学んだ “アウトカム” ─研究を社会の課題解決につなげるという視点を大切にしながら、「誰もが自由に宇宙へ行ける時代」への道を開くことに、少しでも貢献できればと思います。

今やれることをとことん追究して革新的な技術を生み出したい

  • 総合科学技術会議では政府関係者により活発な議論が交わされる
  • 内閣府の総合科学技術会議事務局のメンバーとして国の科学技術戦略の立案に貢献
  • 打ち上げに立ち会った「こうのとり」4号機
  • 上: 総合科学技術会議では政府関係者により活発な議論が交わされる
  • 中: 内閣府の総合科学技術会議事務局のメンバーとして国の科学技術戦略の立案に貢献
  • 下: 打ち上げに立ち会った「こうのとり」4号機

Profile

  • いわさ・みのる
  • (神奈川県出身)
  • 2002年
  • 東京工業大学大学院総合理工学研究科 物質科学創造専攻入学
  • 2007年
  • 同博士課程を修了
  • 同年~
  • 宇宙航空研究開発機構 総合技術研究本部(現研究開発本部)で人工衛星の電源関係の研究に従事
  • 2013年
  • 内閣府総合科学技術会議事務局へ出向
  • 2014年
  • 宇宙航空研究開発機構 研究開発本部

(2013年取材)