東工大生の未来ものがたり — 黒石あかりさん

生物に関わることなら何でもあり、という幅の広さが魅力。

生物に関わることなら何でもあり、という幅の広さが魅力。 黒石あかりさん 生命理工学院 生命理工学系 学士課程2年

生物に関わることなら何でもあり、という幅の広さが魅力。 黒石あかりさん 生命理工学院 生命理工学系 学士課程2年

生命理工学院 生命理工学系 学士課程2年

東工大を目指すことになったきっかけ

東工大を目指すことになったきっかけ

中学生の頃、家の近くの児童館で偶然やっていた生物学教室に参加したことがありました。その先生の話が面白くて、もっと知りたい、いつか研究したいと思い生物が好きになったんです。
高校では理数科に進み、部活も生物部に入りました。大学でも生物の研究をしたいなと思って生命系1本で絞り、ある国立大を志望していたのですが3年生のときの模試の成績が振るわず…。ちょうど部活の先輩が2人、東工大のAO入試(現総合型選抜)で生命理工学系に進んでいたのを知って、東工大も一つの選択肢として考えていたのでAO入試を受けようと決心しました。
先輩のうち1人は私が高校生のとき東工大から出張授業に来ていたんです。もう1人は、生物部で一緒に活動して頻繁に連絡を取り合っていました。東工大を目指したのは先輩の影響が大きく、そのおかげで自分の進む道がイメージしやすかったですね。

受験勉強時代について

AO入試の対策として志願理由書に苦労しました。担任とあわせて2人の先生にチェックしてもらっていました。その後は面接に注力して、高校では3人の先生に、家では父親に見てもらって。父親は人事関係の仕事をしていたので、いいアドバイスを聞くことができましたし、練習につきあってくれてありがたかったです。

東工大で今、打ち込んでいること

生物についての知識を深める黒石さんは勉強以外でもさまざまな経験を積む

生物についての知識を深める黒石さんは勉強以外でもさまざまな経験を積む

2年から生物の専門的な授業が増えてきました。今一番好きな分子生物学では遺伝の仕組みから話がはじまり、遺伝子がどう発現して情報が組み替えられていくかを奥深く学びます。遺伝子は転写から翻訳という過程を経るのですが、その翻訳で活躍するアミノアシルtRNA合成酵素の話がとても面白かったです。そんな酵素があることを高校時代の友達に少し得意げに話しましたね。生物化学という授業では代謝にフォーカスしていて、細胞の中でどの酵素がどう働きかけて代謝が起こっているかを学んでいます。物質の名前がたくさん出てきて覚えるのが大変です(笑)。
勉強以外ではアルバイトに精を出しています。東工大の広報、模試の試験監督、イベントスタッフ、大学の近くのカフェと、大学に入ってからさまざまな経験をさせてもらっていて、今は地元の飲食で働いています。授業だけでは学べないこと、体験できないことがあるので面白く、興味を持ったことはこれからもやっていきたいと思っています。

東工大の生命理工学院に入ってみて

東工大の生命理工学院に入ってみて

東工大生は他大学と比べて一人一人の個性が突き抜けていて、距離が離れている印象があります。他大学生は学部に関わらず、話す内容も趣味もみんな似通っていて同じ場所で盛り上がっているイメージ。東工大生は、円から離れたところにいるんですが、少し外れていることをお互い認め合いながら交流しているのがユニークだと思います。
生命理工学院は生物をメインに扱いますが、授業ではそこに化学や物理などがプラスされます。各研究室で先生が取り組んでいる研究も、機械を用いた物質の解析だったり、医療系だったり、生物に関わることなら何でもありという印象です。生物を中心としてさまざまな分野を学ぶことができ、授業や研究の幅の広さは学内でも随一です。

コロナ禍での過ごし方

コロナ禍での過ごし方

自宅でオンライン授業を受けていましたが、私は対面で受けたかったという気持ちが強いです。先生の伝えたい内容は画面越しでもわかりますが、その場の雰囲気や空気感は気持ちの切り換えになっていて大切だったと実感しました。
課題が多くなったのでテストに向けて暗記することもなく、勉強の仕方も今までと変わりましたね。1年のときは、課題は東工大の図書館や週末は地元の図書館を利用してやっていたので、自宅でやるとなると集中するのが難しかったですが、何とか自分を奮い立たせて一つひとつこなしていました。

今後の目標や将来の夢について

研究がしたいという強い気持ちで東工大に入ったので、研究室生活に向けて力を注ぎたいと考えています。テーマとして今気になっているのは、生物の多様性です。なぜこんなにいろんな生物がいるのかということに興味があり、そこに遺伝子が関わってくるんです。生物の多様性を遺伝子の発現から捉えて研究していくのは面白そうだなと考えています。
できれば海の生物を調べたいと思っているのですが、実は海の生物を扱っている研究室が東工大の生命理工学院にはあまりないんです。分類が複雑極まりない海の生物を取り上げたいので、いろんな選択肢を探って自分の研究を深めていき、将来は研究職につきたいと考えています。

私のある1日

私のある1日

One Day of a Tokyo Tech Student

通学しているときの過ごし方

時計5:30

起床、朝食、準備など

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時計7:00

通学

電車に乗っている時間が長いので好きな本を読んだり、足りない睡眠時間を補ったり(笑)。学校に早く着いた日は空いた時間で勉強していました。

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時計9:00

授業

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時計10:45

授業

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時計12:30

昼休み

第一食堂上のコミュニケーションラウンジで友達とお弁当を食べることが多かったです。

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時計13:20

空きコマ

図書館で課題やレポートをこなす時間でした。

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時計15:05

実験

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時計17:00

自由時間

曜日によって違いますが、サークルのミーティングに出たり大学近くのカフェでアルバイトをしたりしていました。

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時計21:00

帰宅、夕食、自由時間

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時計23:30

就寝

オンライン授業のときの過ごし方

時計7:00

起床、朝食、準備など

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時計8:50

授業

文系教養科目の宗教学Bの授業でした。文系の授業はどの内容も新鮮で先生方も個性豊かなので面白いです。

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時計10:45

授業

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時計12:30

昼食、休憩

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時計13:30

授業

2年前期で一番面白いと感じた分子生物学がこのコマでした。特に遺伝の仕組みに興味があります。

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時計15:20

自由時間

課題をするときもあれば、気分転換に近所に買い物や図書館にもよく行きました。

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時計17:15

サークルのオンラインミーティング

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時計19:00

夕食、自由時間

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時計23:00

就寝

  • 所属しているサークル/部活動は?

    所属しているサークル/部活動は?

    東工大生の短期留学を支援するEPATSという団体に所属しています。留学前の勉強や準備から帰国後の後輩への指導など独自のプログラムで活動しています。
    もう一つ入っているのは、合成生物学の国際大会に出場しているiGEM tokyo techというサークル。遺伝子組み換え技術を使って社会に貢献するための研究活動を行っています。

  • 一番好きな授業・研究や、印象に残っている授業・研究は?

    アミノアシルtRNA合成酵素を知ることができた分子生物学第一の授業が、先生の話も面白く、一番印象に残っていますね。あとは、文系教養科目の先生が一人一人インパクトの強い方が多くて、毎クォーターで何か一つは文系教養科目を受講しています。

  • アルバイトはしていますか?

    これまでたくさんのアルバイトをしてきて、今は地元の飲食店と、大学の近くのカフェを掛け持ちでやっています。大学の近くのカフェは店長からスタッフまで全員が東工大生というコンセプトで、身近に働けています。

黒石あかりさん

Profile

黒石あかり(Akari Kuroishi)

生命理工学院 生命理工学系 学士課程2年 埼玉県出身

高校生、受験生に向けて一言!

高校生、受験生に向けて一言!

生命理工学院の魅力は幅の広さです。そこまで興味はないという人も、いろんな視点から生物を見ることができると知ってほしいです。研究対象が生物というだけで、手法には化学や物理が必須になりますし、少しでも生物に興味があるなら臆さずに目指してほしいです。それと体調も大事です。普段から体調管理に気をつけて受験に臨んでくださいね。

生命理工学院

生命理工学院 ―複雑で多様な生命現象を解明―
2016年4月に発足した生命理工学院について紹介します。

生命理工学院

学院・系及びリベラルアーツ研究教育院outer

Tech Tech ~テクテク~

本インタビューは東京工業大学のリアルを伝える情報誌「Tech Tech ~テクテク~ 38号(2020年12月)」に掲載されています。広報誌ページから過去に発行されたTech Techをご覧いただけます。

(2020年取材)