イマを創る、先輩がいる

大勢の愛情が込もった商品に付加価値を与えて表現する、そこが面白いんです。株式会社電通 第3クリエーティブ局 尾花真由美

大学では数学を専攻し、現在コピーライターとして活躍する
尾花さん。ユニークな経歴をもつ彼女に、広告制作について
話を聞いてみた。

「商品」に一番初めに出合える仕事

―コピーライターの仕事とは?

商品のキャッチコピーなど言葉に関する部分はもちろんですが、ヴィジュアルイメージや企画自体を発案したりと、広い範囲の工程に携わることが多いです。広告制作には、コピーライターだけでなく、営業やマーケティング、アートディレクターなど様々な業種がかかわっていますが、私の会社の場合、アイデアは誰が出してもいいんですよ。

―広告制作に対する原動力は?

新しいモノに立ち合える瞬間と、その商品に対する好奇心です。ある会社が膨大な時間や技術を費やし、限りない愛情を注ぎ込んでつくり上げた商品が世の中に出る、その一番初めのところにかかわり合える仕事なんです。そんな商品をどうやってより魅力的に広めていくかを考えられることに面白さを感じています。表現の方法いかんで付加価値を与えることができるだけに、日頃から意識的に人間観察をしたり、いろいろなものを見たりして、分析することは欠かせません。結局、アイデアは自分の経験からしか生まれないものなので。

数学にもコピーにも必要な"思考"

―広告=文系のイメージが強いのですが。

やはりコピーライティングは国語だと、数学専攻だった私自身、不安に思った時期もありました。でも「言葉と言葉のかけ算や融合が新しいコピーを生む」と、考えを改めたんです。広告をつくっていくには、論理的な思考プロセスの上に、クリエイティブな発想が求められるので、最近は理系の大学を卒業した方も増えてきているくらいです。実際、私と同じ局内にも東工大の卒業生が働いているんですよ。

―東工大で修士課程を経て、役に立ったことはなんですか?

私が、修士で研究していた位相幾何学(トポロジー)は、まったく異なる2つの物を、連続的な図形の変形により同一視できるという概念です。例えば「ドーナツと取っ手付きのカップは同じ物」とされていますが、そこには柔軟な思考が不可欠。これってコピーライティングにも通じているんですよ。東工大で過ごした日々が、物事を柔軟に考えるいい訓練になっていたのかもしれませんね。

数学的な思考でつくり出す広告

  • 科学の面白さや魅力を多くの人に伝えたいという夢を持ち、現在、私的活動として、研究者の取材に取り組んでいる
  • ライオン株式会社「きれいのミスト」の広告では、キャラクター制作を提案
  • 緻密な取材が評価され、王子ネピア株式会社の「nepia GENKI!」では、広告電通賞の雑誌シリーズ部門を受賞
  • 上:科学の面白さや魅力を多くの人に伝えたいという夢を持ち、現在、私的活動として、研究者の取材に取り組んでいる
  • 中:ライオン株式会社「きれいのミスト」の広告では、キャラクター制作を提案
  • 下:緻密な取材が評価され、王子ネピア株式会社の「nepia GENKI!」では、広告電通賞の雑誌シリーズ部門を受賞

Profile

  • おばな・まゆみ
  • (東京都出身)
  • 1999年
  • 東京都立大学理学部数学科卒業
  • 2001年
  • 東京工業大学大学院理工学研究科数学専攻修士課程修了
  • 同年から、株式会社 電通勤務
  • 現在、第3クリエーティブ局コピーライターとして活躍中

(2009年取材)